2005年11月25日
第二回「霧」

霧・・この時期幻想的な風景を作ってくれる気象現象。
歴史的には秋に発生するものを「霧」、春に発生するものは「霞」として区別してる。
古来、霧は思い悩んだり嘆いたりすると、その息が「霧」となると思われていた。
君が行く 海辺のやどに 霧立てば 我(あ)が立ち嘆く 息と知りませ
(万 巻15 3580)
返歌
秋さらば 相見むものを なにしかも 霧に立つべく 嘆きしまさむ
(万 巻15 3581)
恋人(夫)が出かけている赴任先(この当時なので新羅ではないか)の宿舎に霧が立てば、それは私が悲しんでいると思ってね。
返歌
秋になれば帰るから何も霧が立つほど悲しまなくてもいいよ(しかし無事に再会したかまでは不明・・・)

自然にあるものを人間に置き換えたり、比喩につかったり、このように気持ちの変化や表現は自然と密接に関わってきたのですね。